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内部統制を理解する

内部統制のポイント

内部統制が義務付けられる企業

金融商品取引法の1部である日本版SOX法で、内部統制が義務付けられる企業は、全ての上場企業となっています。
2008年4月に適用され、2009年3月決算の企業から、財務諸表と共に「内部統制報告書」「内部統制監査報告書」を提示、公開しなければなりません。

上場を目指す会社は、上場した最初の決算報告時点で「内部統制報告書」「内部統制監査報告書」の提示、 公開が必要となりますので、上場前であっても内部統制の導入、整備に取組む必要があります。

上場企業であり、かつ親会社の連結対象となっている場合や、上場企業であり、上場他社の主要取引先として内部統制の評価範囲に含まれる場合は、 自社の内部統制の導入、整備を推進する一方、親会社、主要取引先などの評価範囲に含まれるためにさまざまなチェックを受けることになります。

非上場企業では金融商品取引法の対象とはなりませんが、上場企業の連結対象となっている場合は、 親会社による「財務報告に係る内部統制の評価」の対象となることが考えられます。

また、2005年5月に施行された会社法においても、大会社に対して内部統制の構築が義務付けられています。
会社法における大会社とは、「資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社」とされています。
これに当てはまる企業は、非上場企業であっても内部統制に取組む必要があります。

非上場企業であり、連結対象でも主要取引先でもない、また、会社法の大会社にも当てはまらない企業は、対象外となります。 しかし、財務報告の信頼性や業務の有効性が高まるなどのメリットを考慮すると、予算、時間の許容される範囲で、部分的にでも適用、導入することが良いと思われます。

経営者に内部統制の構築・評価の義務がある

内部統制の導入では、経営者自らが中長期計画を立案し内部統制に取組む姿勢が大切となります。

日本版SOX法のもとになっている「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のありかたについて」では、 「経営者は、内部統制を整備・運用する役割と責任を有しており」と記載されています。

また、日本版SOX法では、経営者は整備・運用した内部統制の有効性を評価することも求められています。
「財務報告の信頼性」に関する内部統制が有効であることは、「内部統制報告書」の提示、公開も義務付けられ、経営者が全責任を負うこととなります。

会社法においても取締役・監査役などの責任で会社に多額の損害が生じた場合は、役員は会社に対してその損害を賠償しなければならないと定めています。

最近では会社のオーナーである株主が、役員を被告として損害賠償請求訴訟を提訴する株主代表訴訟で、 役員が内部統制システムを構築する義務を怠ったことにより会社が多額の損失を被ったとして、役員に対する損害賠償を求める事案も出てきています。

中長期的な計画と予算が必要

日本版SOX法への対応は、「ITへの対応」という基本的要素が加わり、ITへの投資が大きいイメージがあります。しかし、米国では、業務の文書化に、大きな時間と資金を要しています。

財務報告に係る内部統制の評価を客観的に行うためには、業務を全て洗い出し、同じ業務を誰が行っても同じ結果が得られるように標準化し、それを、規定やマニュアル、手順書といった文書の作成などによって、可視化をする必要があります。

この文書化という作業までには、非常に大きな工数を要し、資金も必要とされます。それゆえに、内部統制の導入、整備、運用までは、中長期的な計画と予算が必要となります。

PDCAサイクル

内部統制の関わるあらゆるマネジメントでは、PDCAサイクルに基づいた流れに基づき、推進される必要があります。

PDCAサイクルとは、製造業などの事業活動において、生産管理・品質管理などの管理マネジメントを計画通りに推進するためのマネジメントサイクルの1つです。

PLAN(計画) : 従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する

DO(実行) : 計画に沿って業務を実施する

CHECK(評価) : 業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する

ACTION(改善) : 実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする

このサイクルに基づき、経営者自らが陣頭にたって内部統制の導入を計画(PLAN)し、・整備・運用(DO)します。
そして、内部統制の有効性を評価(CHECK)することによって、重大な欠陥や問題点がある場合は、早期に是正(ACTION)しなければなりません。

内部統制を取り巻く環境は、企業の内外で変化していますので、サイクルを回すことによって改善を続ける必要があります。
また、評価によって重大な欠陥が発見された場合も、決算末日の前日までに、対応できていれば内部統制が有効に働いていると判断できますので、常にサイクルを回し、改善をする姿勢が大切です。

このようにPDCAサイクルを発展させて、最期のACTIONを次のPLANにつなげ、螺旋を描くように、継続的に業務改善を実施するという考え方があります。この考え方は、スパイラルアップと呼ばれます。

このように、内部統制においても継続的な、改善を図ることによって、より完成度の高い形へと構築していくことが大切です。