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日本版SOX法の知識

日本版SOX法とは?

背景となった国内の粉飾事件

米国では、2000年代に入ってから、巨額の粉飾決算事件が続発し、米国株式市場の信用に大きなダメージを与えました。
同様にわが国においても、近年、粉飾事件が続発し、米国SOX法と同様、証券市場の信頼回復を目的とした制度を導入するきっかけとなっています。

2004年11月 西武鉄道事件

西武鉄道が有価証券報告書の中で、大株主であるコクドなどの持ち株比率を40年間にわたり過少に報告していた、有価証券報告書の虚偽記載事件です。

しかも、経営幹部らは、偽装株の存在や虚偽記載の事実を公表する前に株式を売却しています。
西武鉄道は、上場廃止を免れるために長期間、意図的に情報を開示してこなかったことが明らかとなり、2004年に上場廃止となりました。また、経営幹部は証券取引法違反で罪に問われました。

2005年9月 カネボウ事件

2002年の連結決算で巨額の債務超過による赤字を抱えていたにも関わらず、経営者主導で不正な経理操作を行い、大幅な黒字のように見せかけた粉飾事件です。

さらに、粉飾決算を防ぐ立場にある、監査を担当していた公認会計士にも、この粉飾決算の関与が発覚しました。

その結果、カネボウは上場廃止になり、カネボウの元役員、および監査を担当していた公認会計士が、証券取引法違反で刑事罰を受けました。

このような巨額の粉飾事件を受けて、米国SOX法と同様の法律を国内に導入する動きが高まってきました。
そして、2005年1月金融庁企業会計審議会総会から、
  「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価の基準及び公認会計士等による検証の基準の策定」
について審議されます。

金融商品取引法の誕生

アメリカでSOX法が制定された後、2003年にかけてイギリス、フランス、韓国など相次いで同様の制度が採用されました。
 日本国内においても、
  「会社法制との整合性に留意しつつ、国際的にも説明可能で、かつ日本の実情にあった実効性のある基準のあり方」
 についての審議が始まりました。

その経緯は、
 
2005年1月
 金融庁企業会計審議会総会において「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価の基準及び公認会計士等による検証の基準の策定」 について審議開始。
 
2005年7月
 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方」についての公開草案が出される。
 
2005年12月
   「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方」についての基準案が出される。
 
2006年3月
 財務報告の適正性を確保するために上場企業に対して内部統制の構築を義務づける「日本版SOX法」(通称)を含む、「金融商品取引法案」を閣議決定。通常国会に提出。
 
2006年6月
 「金融商品取引法」が国会にて成立。適用は、2008年4月開始事業年度となる。

 
2006年11月
 実務に適用したときの指針となる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」の公開草案が公表。

今後、より具体的な指標やガイドラインが示されていく予定となっています。

日本版SOX法とは?

米国と同様、国内で相次いで発生した粉飾決算事件の再発防止、株式証券市場の信頼回復を目的に、 2006年6月7日 証券取引法を大幅に改正する形で金融商品取引法が国会にて成立しました。

金融商品取引法では、投資家の保護、国内証券市場の正常化、を図ることを最大の目的として、  
・金融商品や金融サービスの販売に関する規制が、銀行、証券、保険など、縦割り行政のもと、分断されていたことに対し、横断的なルールを設定する。  

・4半期開示の義務付け、公開買い付け制度(TOB)や大量保有報告制度の見直しなど、企業情報の開示制度の充実を図る。

の2つを柱とする法律です。

後者にある「企業情報の開示の充実」の一環として、
  「第24条の4の4第1項に定める内部統制報告書の提出義務」
  「第193条の2第2項に定める提出する内部統制報告書に対する公認会計士又は監査法人による監査証明の義務」
が定められています。

ここでは、経営者自らが、財務報告に係る内部統制を、計画・整備を実施し、その運用状況に対して自己評価を行い、 その評価内容を、「内部統制報告書」として作成・提出することとなっています。

また、監査人は、経営者自らが行った評価及び結果を対象に、内部統制監査を実施し、監査証明として意見を表明することが求められています。

これらは、先行して成果を上げている米国SOX法を手本として定められているので、俗に日本版SOX法と呼ばれています。

日本版SOX法では、2009年3月決算から上場企業に対して適用されることが定められていますので、 遅くとも2008年4月以降に始まる事業年度については、準備を完了させておく必要があります。また、上場企業ではなくても、 連結を受ける子会社や上場企業と取引のある会社においても日本版SOX法の影響が及ぶ可能性があります。